栃木県宇都宮市発のステーキ専門レストランチェーン、宮系ステーキは、コロワイドグループの傘下企業によって運営され、東日本に100店舗以上を展開しています。
その名は創業地「宇都宮」に由来し、開店以来続く「ハンキングテンダー」や「宮ロース」は、看板メニューとして親しまれています。特に「ハンキングテンダー」はその独特の味わいが特徴で、これを引き立てる専用のたれが同店の代名詞となっています。
店内は石と木材を使用した落ち着いた雰囲気で、リーズナブルな価格設定にもかかわらず、サラダやスープ、熱々のステーキを鉄板で提供するワゴンサービスが好評です。
特筆すべきは、ステーキのたれを鉄板に注ぐ際には、飛び散りを防ぐため紙のナプキンがかけられ、そのナプキンを客自身が取り除くことで、たれの香りが一層引き立ち、食欲をそそります。
しかし、2019年から2020年にかけて閉店が相次ぎ、特に北海道と静岡県では全店舗が姿を消しました。本記事では、なぜ撤退に至ったのか、そして宮系ステーキの将来について詳しく掘り下げます。
ステーキ宮の静岡撤退：その背景に何があったのか？
ステーキ宮はそのおいしいステーキで人気を博してきましたが、2019年以降、低価格で手軽に楽しめるステーキ店の増加に押され、多くの店舗が閉店に追い込まれました。
2020年に入ると、閉店のペースはさらに速まりました。
詳しい理由は明かされていませんが、新型コロナウイルスの影響が一因とされています。
さらに、インターネット上の否定的なレビューも影響していると考えられます。
その内容には、以下のようなものがあります。
- ミディアムで注文したにも関わらず、焼きすぎていた。
- コストパフォーマンスが悪い。
- 見た目が悪く、焼き色が不十分。
- 肉が硬く、食べづらい。
- 肉へのこだわりが感じられない。
- ハンバーグが鶏肉のつくねのような味。
- 肉が乾燥してパサパサしている。
これらの問題点が、肉の質と味に対する顧客の不満を招いています。
静岡県では閉店が特に多く見られました。静岡には「さわやか」を含む数多くのステーキ店が存在し、激しい競争の中で生き残ることができなかったと思われます。
静岡県内で閉店したステーキ宮の店舗は次のとおりです。
- 2021年8月：沼津店
- 2020年8月：イオンモール浜松市野店
- 2019年6月：富士宮店、磐田店、藤枝店、浜松船越店
2019年には4店舗が閉店し、その後も閉店の傾向は続いています。
ステーキ宮の改革と未来への展望
株式会社コロワイドは、2020年3月期を迎え、収益の向上と経営の効率化を目指して経営戦略を一新しました。
不採算の店舗を整理し、組織の改善を進めるため、株式会社スタディストと提携しました。
この改革では、社内の離職率を低減し、従業員がより良い労働環境で働けるよう取り組んでおり、これがブランドイメージの向上に寄与することを期待しています。
業務の効率化と手順の標準化を推進し、従業員が働きやすい環境を整えることで、顧客へのサービス品質も向上させています。
さらに、少子高齢化の進展を踏まえ、地域社会に密着した店舗運営を強化しています。
地元住民が集まりやすい、コミュニティに開かれた店舗作りを目指していることが、この取り組みの一環です。
まとめ
ステーキ宮は2019年から2020年にかけて、特に静岡県で多数の店舗が閉店し、結果として地域からの撤退を余儀なくされました。
静岡県には数多くの競合するステーキ専門店が存在し、さらに新型コロナウイルスのパンデミックが影響を及ぼしたため、事業継続が困難になりました。
それでもステーキ宮は軌道修正を図り、株式会社スタディストとの協力のもと、経営基盤の全面的な見直しを行い、新たなビジネスモデルを探求しています。
これらの改革により、再成長の機会を探ることが期待されています。
消費者としては、改革後のステーキ宮がどのような変貌を遂げるのか、その進展に注目していきたいところです。
